陶磁器とは

陶磁器とは陶器と磁器などの焼き物のことをいい、土などをまぜて成形・焼成した製品の総称で、素地(きじ)の質や焼成温度によって、陶器や磁器などに大別されます。

陶器は「土物」といわれ、粘土を原料とし比較的低温で焼き上げたものをいいます。
磁器と比べると、密度が低く割れやすいため、厚く仕上げられます。表面に釉薬(ゆうやく)をかけて焼くことが多く、釉薬がかかった部分はガラスのようにつるっとしています。土のぬくもりが残るものが多く、あたたかい風合いが特徴です。
備前焼、萩焼などがそれにあたります。

磁器は「石物」といわれ、主に石の粉末を練ったものを原料とし高温で焼き上げたものをいいます。 高温で焼くため生地が硬く焼締まり強度があるため、陶器より薄く作ることができます。素地が白く表面がなめらかなため、鮮やかで細かい絵付けが映えるのも特徴です。 有田焼、九谷焼などがそれにあたります。

粘土

粘土

焼き物を作るのに使う土は、水を加えて練ると粘りけがでてきます。この粘りけが「粘土」と言われる所以です。
粘土はその粘りにより形を作り、できた形を保つことができます。これを可塑性(かそせい)と言います。

焼き物に使われる粘土は、可塑性があるだけではよい粘土とはいえません。
焼いたときに形が崩れず(耐火度が高く)、伸縮率が均一であることもよい粘土の要素の一つとなります。

これらのことから、長石質母岩が風化してできた「カオリン鉱物」が多く含まれるものが良質の粘土といわれています。

成形方法

成形方法

粘土の成形は、いくつかの方法があります。

大きく分けて手ひねりと轆轤(ろくろ)です。

手ひねりは、ろくろを使わず成形するため、一点一点手作りの風合いがでて趣があります。 手ひねりの中でも、粘土をひも状にし、積み重ねて筒状にする手法を紐作りといい、平らなお皿やコップなどの筒状のものを作るときに使われる形成方法をタタラ作り(板作り)といいます。

ろくろは、砲弾状にした粘土をろくろの上に乗せ、ろくろを急速に回転させながら左右上下に粘土を形成していくため、円形の回転対象形の形成が主となります。

装飾

形作られた粘土に飾りをつけて完成させます。
装飾には様々な手法があります。

■絵付け

その名の通り、陶磁器に模様を書いたり色を塗ったりすることです。
一度素焼きした陶器に水性の絵の具で描くことを下絵付けといいます。下絵の上に釉薬をつけて再度焼きます。
それに対し、本焼した(釉薬をつけて焼いた)陶器に絵付けすることを上絵付けといいます。この場合は油性の絵の具を使います。

■化粧掛け

素地が生乾きの時に化粧土を掛けて素焼きしたものに、透明釉を掛け、本焼きして仕上げる技法です。
素地の色を抑えるために用いられたり、素地と違う色の化粧土を表面に施すことで模様を描くために用いられます。
例えば、刷毛で化粧土を塗る刷毛目(はけめ)、生地に凹みを作り、凹みに化粧土を埋める象嵌(ぞうがん)、化粧土を塗った器を乾燥させ、ハリなどで模様を削りだす掻き落とし(かきおとし)などの技法があります。

■釉薬(ゆうやく)

釉薬とはうわぐすりとも言われ、ガラス状のコーティングのことです。
釉薬をかけて焼くことで、水が漏らないようになる、汚れが付きにくくなるという効果が得られますが、それ以外に、釉薬に含まれる金属成分が熱に反応し、発色するため装飾としても使われます。

焼き方

焼き方

成形した陶磁器を焼く窯には、登り窯、電気窯、ガス窯などがあります。

登り窯は、江戸時代からの伝統的な窯で、斜面等地形を利用して作られています。
窯にできた高低差による燃焼ガスの対流を利用して、1300℃前後に温度を保ちます。
温度の管理は、熟練した職人の経験が求められます。

電気窯やガス窯は、登り窯に比べると比較的温度をコントロールしやすく、同じ焼き加減のものを作る場合に適しています。